よい本、見つけました。医道の日本社の「人の生きた筋膜の構造」。DVD付きですよ(^_^)
この本を読んで、ちょっとマニアックな話。私たちが組織にアプローチするとき、うまくいっているとよく「治療脈」というのが起こります。これが起こると組織が熱を帯びてくると同時に脈動が活発になり、組織が緩んでくるとだんだんと小さくなっていきます。クレニオセイクラルセラピーでは膜に対してアプローチすることが多いのですが、この治療脈は施術中によく起こります。しかし理由がイマイチピンとこないところがありました。
この本によると、筋膜は「膜」という構造をしているわけではなく、ランダムな網目状の構造体が、ある部分は緩く、ある部分はかなり密に編まれている連続体であるといいます。そしてとてもみずみずしさを感じます。私たちが解剖の際に見せていただくのはホルマリン処理をしたものであって、こうなるといかにも膜といった感じです。
そしてその乳白色の線維の中に、血管が走っている部分があります。この連続体に歪み、癒着、緊張等があれば、この血管にも影響が出ることは容易に想像がつきます。私は私たちが皮膚に接触しこの連続体にアプローチするとき、今まで阻害されていた線維の中の血管が解放されて、いっきに血液が流れていくことで先の「治療脈」が起こるのではないかと思いました。
クレニオセイクラルセラピーでは5グラム以下の力を使いなさいと教えられます。この力で力強い拍動を得るには、この連続体の中の血管が解放されると考えるとしっくりいきます。かなり深い組織でも、連続体を通して力が伝達されているなら、5グラム以下の力でも十分線維の中の血管に作用させることができます。
ただ癒着等が浅い部分にあれば浅い部分で拍動が感じるでしょうし、深い部分であれば深い部分で感じるでしょう。頭蓋骨であれば、縫合に緊張等があればかなり狭い部分で拍動を感じるでしょうし、硬膜であれば広い範囲で感じるかもしれません。
この網目状の組織は骨でも基本的に同じ構造をしています。よって骨自体の歪み(骨内病変)を治療するときもこの網目状のフレームを意識して治療すると、むにゅっと動くのが感じられます。
まだまだ知らないことがたくさんあります。面白いですね。
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